前回に引き続きアパート経営における高齢者の受入れ対策について考察します。
今回の考察のメインは入居している高齢者がお亡くなりになるケースに備えた対策です。
高齢の入居者がいらっしゃる大家さん、今住んでいるアパートを終の棲家にしたいと考えていている入居者がいらっしゃる大家さんであればなおさら対策が必要です。入居者が亡くなるケースに備えて次の2つの対策をする事をぜひお勧めします。
- 孤独死とならないように対策する。
- 残置物や契約解除を速やかに行えるよう対策する。
「1.孤独死とならないようする対策」をお勧めする理由は以下の通りです。
- 転居の増加、原状回復費用の増加、家賃下落、物件価格の下落など、収支計画が大きく下振れしてしまう可能性がある。
- 精神的な負担が大きい。
- ご遺体の状況により、遺族の方に相続放棄されてしまう可能性がある。
孤独死が発生した際の状況については吉田太一著「孤立死 あなたは大丈夫ですか」が詳しいです。対策としては弊社のサービスのほか、各社から様々なサービスが出ています。
続いて「2.残置物や契約解除を速やか出来るようにする対策」をお勧めする理由は以下の通りです。
- 賃貸借契約は相続されてしまうので、大家さんが勝手に解除できない。
- 残置物は入居者の財産であるので勝手に処分できない。
- 勝手に処分、契約解除すると不法行為(自力救済の禁止)となる。
- 解決するまでに時間がかかりますし、その間の家賃収入が途絶えてしまう。
ではどのような対策が考えられるでしょうか。
- 相続人の確認 → 戸籍謄本を確認し、相続人を把握する事をお勧めします。離婚などで連絡が取れない子供がいるかもしれませんし、甥姪などがいるかもしれません。
- 入居者の意思の確認 → 終の棲家としたいのか、将来的に親族と住むのかどうかなど。
- 死後事務委任契約、遺言の整備 → 亡くなった後の賃貸借契約の解除や残置物の処分をどうするか決めておく事により、速やかに対応できます。
孤独死の対応、残置物・契約の対応のいずれも事前の準備次第で後からの負担が大きく変ります。少子高齢化や未婚率の急激な上昇等で、孤独死や相続人不在の入居者は増えていきます。賃貸経営される方のリスク管理はより重要になっていくと思われます。