先日賃貸住宅フェアin札幌に行き、高橋弁護士の高齢者セミナーを聞いてきました。
札幌は高齢化社会だと思っていましたが、実は違うのだそうです。
高齢化率は既に26%となっていて高齢化社会ではなく、超高齢社会なのだそうです。

アパート経営においても高齢者の受け入れは避けられない状況となってきていますが、
一人暮らしの高齢者には、室内で亡くなってからしばらく発見されない、いわゆる「孤独死」のリスクがあります。
高齢者を受け入れつつ、リスクに対応する方法はいくつかありますので、整理してみたいと思います。

一般的にリスクへの対応としてはリスク回避、リスク移転、リスク軽減、リスク保有の4つがあると言われています。孤独死のリスクに当てはめてみるとそれぞれ下記のようになります。

  1. リスク回避:高齢者を入居させない
  2. リスク移転:孤独死保険へ加入する
  3. リスク軽減:見守りサービスを利用する等して早期発見する
  4. リスク保有:対策しない

ではそれぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう

メリット デメリット
高齢者を入居させない 孤独死の発生を抑えられる 空室期間が長くなる事による収入減、既存の入居者の高齢化対策は必要
孤独死保険へ加入する 孤独死発生後に金銭的な補償が受けられる 孤独死自体は防ぐ事が出来ない、孤独死の状況によっては保険金額で不足するケースがある。
見守りサービスを利用する等して早期発見する 入居者の異常を早期に発見する事が出来る。 金銭的な補償はない。
対策しない 費用が発生しない。 孤独死が発生した場合、自費で対応が必要

不動産経営といっても部屋数や経営方針などによって全く状況が異なります。ですので最善の孤独死対策方法も人それぞれ違います。それぞれの方法に対してどのような大家さんが向いているか私なりに考察してみました。

検討するべき大家さん
高齢者を入居させない 駅近物件など場所が良い所に物件をお持ちの大家さん向け。

理由:無理に高齢者を入居させなくても物件が埋まるため。

孤独死保険へ加入する 借り入れをして木造アパートを数棟程度保有している中堅大家さん

理由:万が一孤独死が発生して、他の入居者の退去につながった場合、返済計画が狂う可能性があるため。また木造アパートはRC物件よりも他の部屋に対する孤独死の影響が大きいためです。

見守りサービスを利用する等して早期発見する 木造アパートを数棟程度保有している中堅大家さん

理由:アパート1棟当たりの収支の割合が大きく事故があった場合の影響が大きいためです。孤独死は発見が遅れると建物へ与えるダメージが大きくなる場合があります。他の入居者の退去の原因となったり、最悪の場合は建物の建て替えが必要になる事もあるようです。1棟当たりの収入の割合が大きい大家さんは見守りサービスの利用を検討するのが良いでしょう。

対策しない ①建物が古く建て替えを検討している大家さん

②何百室も持っているメガ大家さん

理由:建て替え前提であれば、部屋にダメージがあっても良いと思います。また何百室も経営されている大家さんにとっては一部屋、1棟当たりの経営に与える影響は相対的に小さくなるので、何も対策しないという選択肢もありだと思います。

結論としては、木造アパートを数棟お持ちの中堅規模の大家さん(特に借り入れをしている大家さん)は、1棟当たりの経営に与える影響が大きいので保険と見守りサービスの導入を検討するべきだと考えます。

不動産経営には孤独死だけでなく、火事や地震など様々なリスクがあります。それぞれ適切にコントロールして健全な経営を目指しましょう!